天然お嬢と双子の番犬さん
「そこだけ!後は駄目だからな!」
「ありがと!パパ!」
お礼のハグ返し。
「お土産のおやつ沢山あるから、一緒に見ようなぁ~!」
パパってホラー映画とかパニック映画系苦手じゃなかったっけ?もう平気なのかな?
「よし、車…」
「車検中だね」
「そうか。ならパパと一緒に歩いて」
ここで着信が流れた。
あれ?これって幼稚園時代に私がお遊戯会で歌った声なんじゃ…気のせい?
画面を見て顔をしかめるパパ。
きっと行けなくなったって顔だろう。
「和、湊」
歯を食いしばりながら振り返った。殺気が出てる。
「花を頼む…クソッ!俺が花と行きたかったのにぃ!ばかあぁ‼」
「「…了解」」
最後の方はかっこ悪かったなぁ。
涙を流し走り去っていくパパに手を振った。
「お嬢、着替えておいで。僕達も着替えてくるから」
「はーい!」
浴衣のままで歩くと視線凄いもんね!早く着替えてレッツゴー!
辞めておくべきだったんだ。
私の我儘言ったが全ての始まり。
そうじゃなきゃ、今も二人と…仲良く過ごせたのかな?
もう後の祭りに過ぎないけれど───。