天然お嬢と双子の番犬さん
…思い切って聞いてみようかな。
思っていた所で口に出さないと伝わらないのだから。
「いついなくなるか分からない。だからこそ思いを伝える事、聞いておく事…でも相手に不快な思いをさせるような事はするなよ」
そう教えてくれたはパパだった。
今にも泣きそうな顔で、パパが私に教えてくれた事。
きっとママを思い浮かべてたんだと思う。
「あのさ、」
「キャアアア‼‼」
…え?
至る所から叫び声がした。そこに目を向けると、白いガスのような物が上がっている。パニックになった人達が走って来ていた。
手を引かれた、けど。
子供の泣き声が聞こえる。
人混みの中一人で「ママ」と叫びながら泣く子供を見つけた。
あのまま居たらきっと、走ってくる人達にぶつかって怪我してしまう。
「あの子供の所に!」
「ま…お嬢!待って!」
「一人で行くな!お嬢!」
手を伸ばす二人を振り切って人込みに紛れた。