天然お嬢と双子の番犬さん
誘拐するならちゃんと名前ぐらい把握しておいてよねっ。
私の事なら調べればすぐにヒットするし、他の人と間違える事が無い地毛の色、ミルクティーベージュのミディアムヘアーだよ。
こんなにわかりやすいのに!
どうして覚えられないの!
差し出された手にライターを置いたと同時に、鉄をこじ開けるような音が響く。
音がしたのは人が出入りしていた扉の所───。
今度はよーく知ってる二人組。
声を掛ける前に腕を引っ張られ、煙草臭い男の人の方へ。
「来やがったな!東雲‼」
灰色のサラサラ髪の男と煙草を咥えている黒髪の男。
二人共同じ”東雲”である。
二人の視線は私の方へ向く。
とりあえず…、
手を振ってみた。
黒髪は溜息、灰色髪は苦笑い。