天然お嬢と双子の番犬さん
「や…ま…」
「心配しないでお嬢。何もしないから…」
花の手が和の頬に触れた。
「…どこ、か…いたい…?…つらい…かお、してる…」
途切れ途切れのか細い声と涙を沢山溜めた目。
一瞬だけ飛びそうになる理性を無理矢理抑えて抱きしめた。
「……みな…と…」
震える手を伸ばし、目の前にいた湊の目の下に触れた。そこには真新しい傷がある。
「…ごめ…んね、けが……」
ランプを振り回した時に作ってしまった傷。これが痛くて苦しい顔をしていると思ったのだろう、必死に声を出していた。
「ッ…違う…痛くねぇ…」
花の手に湊の指が絡む。
「…だい、じょぶ…?……がまん…し、てない…?」
「──ッ、ああ、」
そう言った湊の顔は苦しそうだった。
***