天然お嬢と双子の番犬さん
今制服を着てるのは、あなたが見たいって言ったから。
いなくなると知らされたのはその後だった。
もう行っちゃうんだって。
私を置いて一人で。
ずっと一緒に居てくれるって言ったのに。
悲しくて、心が痛くて、辛い。大好きな人と離れ離れになってしまう。
玄関にリムジンが止まってる。彼を待っていて、私がこの手を離してしまったら行ってしまうんだね。
彼はかしずいて、手の甲にキスを落とした。王子様のように優雅に行われたそれは私の涙を引っ込めた。
「ごめんね。でも必ず戻ってくるよ。
そしたら──、」
大きな風が吹く。
小さく、私に向けて言った台詞。
「…待っててくれる?」
頷いて、ゆっくり手を離した。