天然お嬢と双子の番犬さん
連休で良かった。
ぐーっと背伸びして、布団から出た。起き掛けに鏡を見て見たら大変だ。目の下が赤い。それに声が微かに枯れてるような気がする。
昨日沢山泣いたからかな。あんなに泣いたの久々だったから。最後にあれぐらい泣いたのは、あの人を見送った時かもしれない。
擦らなかったお陰でそれほど腫れてない。ただ赤いだけ。今日が学校だったら、鞠に心配かけてただろうなぁ。
…よし。
パチンと両頬を叩き根性注入完了。
鼻歌交じりで浴衣を着こむ。
まだ体は痛いけど、もう大丈夫。
足元でニャウ、と声がした。
「おはよ、リン」
頭を擦り付けてくる。
私がしゃがむとお腹を見せ、撫でろとの命令。
わしゃわしゃと撫でながら、懐かしかったあの夢を思い出す。
あの人が行ってからもう三年になる。でも未だに帰ってくる気配は無いし、話も聞いてない。
…あの時に何か”約束”をした気がしたけど、なんだったかな。