天然お嬢と双子の番犬さん

眉がわずかに動く。悲しい顔…もしかしたら辛い方かもしれない。二人にそんな顔をさせたのは私のせいだ。





手を離したら本当に離れて行きそうな気がしてならない。






──…っ、




嫌だよ。

離れたくない。






「私は…二人の傍に居たいよ」







涙が溢れて止まらない。



和と湊が何処かに行っちゃうんじゃないかって、そう思うだけで悲しくて辛かった。





「お嬢、僕達は──、」



「嫌だよ!」





その先を聞くのが怖かった。だから言葉を遮った。





「ちゃんと言う事聞くから!迷惑もかけないから!」





和と湊が言う前に、と思った。

それに今なら声が出るから。



これ以上泣いてたら、その内声が詰まって出にくくなるその前に言わないと。






「──ッ、




もう二人から絶対離れないから。

絶対一緒にいるから…!



お願いだから…私から離れて行かないで…、」



< 230 / 534 >

この作品をシェア

pagetop