天然お嬢と双子の番犬さん
天気良くて良かった。雨降りの後だったりしたら今頃泥でドロドロだったね。
「湊、ありが──」
捲れて見えた膝より少し上。太ももまではいかないけど、そこに赤い点があった。前に首筋に出来た赤い点のような物だ。
外に出たから刺されたのかな?ふくらはぎにも少しついてるっぽいし。
「お嬢?」
「え?あっ、ありがとう!」
虫刺されの薬、昨日貰えば良かったかな…最近よく刺されてるから。
廊下で降ろされた。そこではリンが待っていて、私が来た途端足に頭を擦り付けてきた。相変わらず和と湊には近づかないけど。
「あれ?和と湊は?」
一緒に戻ると思ったのに。
「ここのサンダルじゃないんだ。向こうの廊下から戻るよ」
「先に行ってろ」
二人の手が私の頬を包み撫でる。唇を綻ばせた和と湊に、私も釣られるように微笑んだ。
「親父の所に行く時は玄関、通らないでね」
「どうして?」
和は「客が来るから」とだけ言うとまた微笑んだ。