天然お嬢と双子の番犬さん
和と湊の声が背後から聞こえた。私がのんびり歩いていたから追いついたんだと思う。
「お嬢、まだここに…」
それに気付いてた。それなのに…二人を無視して玄関の方に走ってしまった。
廊下を走るなって言われてたのに。
走って走って向かったんだ。
あの人の所に──、
玄関の戸を開ける音が聞こえた。
廊下の突き当り。ここを曲がると客用玄関がある。
そこに彼がいた。
茶色い髪、ハイライトが綺麗。
全然変わっていない容姿。
「ッ、留華!」
声に気付いた彼が私の方を向く。
「──ただいま。お嬢」
やっと帰って来てくれた。本当に三年で戻って来てくれたんだ。
優しく微笑む姿も変わってないんだね。
「おかえりなさい!」
涙ながらに言って、抱き着いた。