天然お嬢と双子の番犬さん
元若頭さん
抱き上げてくれた。
目線は同じ、顔がよく見える。
変わってない…けどちょっと疲れてるみたい。
目の下を少し擦る。
「時差で疲れてた?」
疲れてるのに思いっきり抱き着いちゃったよ。
「ん?あはは、大丈夫。中国と日本じゃ一時間ぐらいだし…」
「嘘、ダメ」
「……ごめん。本当はちょっと眠い」
そう言って、乾いた笑いをした。
───不知火 留華、28歳。
元五十嵐組の若頭で、私のお世話係?番犬?だった人。
それから…、
私が初めて好きになった人。
指から伝わる熱、感触、声も留華そのものだった。
懐かしい夢を見た後にくるなんて…あれは予知夢だったのかな?
「…不知火さん」
和と湊が後からやってきた。
「東雲兄弟か、久しぶり。
…相変わらずいい顔してるね」
はにかみ笑い。
でもちょっと言葉に棘がある。
「留華も綺麗な顔してるよ?」
「…お嬢も綺麗だよ。見ない間にもっと綺麗になった」
面と向かって言われると照れる。