天然お嬢と双子の番犬さん
パパに降ろしてもらい浴衣を軽く直す。
全力疾走のお陰でぐちゃぐちゃになっていた。これで良しとなってから、もう一度留華の方へ寄ろうとした時だった。
湊に手首を掴まれた。
「…朝飯」
あ、そうだった!
意識してからお腹の虫が暴れてる。早くご飯を食べないともっと暴れ虫になってしまうかもしれない。
「留華は朝ご飯食べた?」
「どうせ飛行機の中で食べたよ」
留華よりも先に和が答えた。
確かにそうだよね。
機内食あるなら食べたよね。
「じゃあ、留華後で…わッ⁉」
「早くしろ」
会いに来てね、と言うつもりだったけど。湊に引っ張られてしまい最後まで言えなかった。
そんな強く引っ張らなくても…!
「おい‼花を優しく扱えよ⁉繊細なんだぞ!俺の花は‼」
「「…分かってる」」
引っ張る二人の足を踏まないように注意しながら、小刻みに駆け足で後を付いて行った。