天然お嬢と双子の番犬さん
「お嬢、約束もう破るの?」
和が言った。
「お嬢が離れるなら、僕達はいなくなるよ」
「え!やだよ!」
和と湊に会えなくなるなんて…さっきもう言わないって言ったのに。どうしてまた言うの?
「じゃあ離れたら駄目だよ、僕達の隣に居て。それから話すのも駄目って言ってたよね?」
「でもパパと話すのは良いって…」
パパとそれから話してたのは──、留華だ。
でも留華は五十嵐組だよ?
もう元が付いちゃったけど。
それでも五十嵐組である事には変わりないよ。パパとは今も連絡し合ってる仲みたいだし…私には番号教えてくれないけど!
「…俺等と不知火どっちが大事だ」
どっちなんて…。
「和も湊も留華もパパも、五十嵐組も。みんな大事な人だよ?」
みんな家族で大切な人達だから。
和の眉間にしわが寄り小さく舌打ちをした。
「そういうのを聞いてるんじゃないんだよ」
「和?どうしたの?」
和はぎこちない笑顔を作り左右に首を振る。湊は私の手を握り、離さなかった。