天然お嬢と双子の番犬さん
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不知火留華と五十嵐組竜二が向かい合って話をしていた。内容はルーフスの事。
「…で?ちゃんと生かしてんだろうな?」
竜二がそう言うと、留華は笑った。
「ああ。生きてるよ…世界各地バラバラになって、ね」
「…おい、お前まさか」
竜二の眉がピクッと上がる。
留華は笑顔のまま。
「言われた通り殺してはいない。心臓は動いているし他の臓器も正常に動いてるしね?
ただ…姿形は赤の他人だけど。
でもこれでも甘いと思うよ?
親父も憎かったでしょ、あの豚共」
「チッ…頭いい奴の考える事はめんどくせぇな」
「あはは、それは褒め言葉としてもらっておくね?」
竜二は大きな溜息をついたが、留華を怒るつもりは無く”それで良かった”とまで考えていた。
憎かったのは本当の事だったからだ。もう一度そいつ等を見てしまったら、自分を抑えられる自信など到底なかった。