天然お嬢と双子の番犬さん

ひんやりとした和の指先が唇に触れた。




「やまと?」


「…不知火さんと話さないで」




俯き、か細い声が私達しかいない小さな洗面所に木霊した。


──…え?



留華は和と湊の舎弟だった。私がそれを知ったのは二人が若頭になってからだったけど。



「どうしたの?喧嘩でもしたの?」



もしかしてパパと同じで連絡取り合ってたのかな?その時に喧嘩しちゃったとか?


和の頭を撫でながら、和の後ろで立っている湊を手招きした。湊も辛そうに見えたから。

近付いて中腰になる湊の頬に触れて摩る。



「私も一緒に謝るから、そんな顔しないで?それに留華なら許してくれるよ」



滅多な事で怒らないし、仏様みたいってみんな言ってる。


でもね、和と湊も負けないぐらい優しいの。いつも傍に居てくれるし、なんだかんだ言ってカフェとか連れてってくれるし…。


留華みたいに何処かに行ったらどうしよう?

そうならないように約束は守らないと駄目だよね。気を付けて──、







「──なんでわかんないんだよ」



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