天然お嬢と双子の番犬さん
和が顔を上げた。
…怒ってる?
両肩を強く掴まれた。痛みで顔が歪む。
「なんで言う事聞かないんだよ‼」
驚いて胸が高鳴った。和に大きな声を出された事なんて今までなかった。
「和!辞めろ!」
「うるさい‼」
湊が和の肩を叩くが振り払い、私の顎を無理矢理持ち上げた。視線の先には歯を食いしばる和がいる。
「僕の何が不満?顔?性格?名前?体格?」
「何もな…」
「あるから聞けないんだよね?顔を変えればいい?性格は優しくなればいいの?」
そんな事思ってない。
不満なんて何もない。
声に出したかったけど、和の気迫に負けてしまった。殺気立つ和に湊が「辞めろ」と何度も叫んでる。
「僕は構わない、望むなら変えてもいい。全部嫌なら違う人間になってもいい…
それでも言う事が聞けないなら、このまま閉じ込めてあげようか?
光の無い部屋で首輪でも付けて、僕達以外誰も近付かないようにしてあげてもいいんだよ?」
「和‼いい加減に──、」