天然お嬢と双子の番犬さん
「…こんなとこで何してやがる」
五十嵐組組長、五十嵐竜二。
竜二は留華の横を通り過ぎ、二人から花を奪い返す。寝顔の花を見てにんまり。
「秋季の言う通り、花は本当に千夏にそっくりだ…俺が唯一愛した女に、」
額にキスをした。
花に対する優しげな瞳から一変。
鋭い目付きで三人を見る。
「吞んでたんじゃなかった?」
和がそう言うと竜二はフッと笑った。
「興ざめだ」
「…そんなに吞めなかったのか?あいつ等」
留華の言葉に左右に首を振る。片手にはスマートフォン。画面はメールが表示されている。
”手筈は済んだ”
──その一言のみ。
「祭りは終いだ。
明日から五十嵐組の集会を行う。
世界中の傘下をここに呼べ」
「「了解」」
「…好的」
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