天然お嬢と双子の番犬さん
暗闇と静寂
───部屋の中。
入ったと同時に襖が思いっきり閉じた。
閉め出される形になってしまったリンは、驚いてガリガリしながら大きな声で鳴いている。
「…湊?」
あまりにも急だった。
ピシャリと響いた大きな音は、私を大きく震わせたのだ。
目だけが私の方を見る。
ドンッ、と壁に押し付けられた。
顔の横に湊の腕がある。
「俺が”兄貴”だと?」
低い声。
これはさっき丞くんが言った事について。
「えっと…ずっと一緒にいたから、そうみたいだなぁって思って…」
優しくて頼もしいお兄ちゃん、みたいな…感じだったから。
「…ざけんな。俺はお嬢の兄貴になったつもりはねぇ」
「それはそうだろうけど…」
ちょっとグサリ。
それは「何とも思ってない。」そう言う事なのかなぁと思ったから。