天然お嬢と双子の番犬さん
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部屋の中心でか細い声がする。
横座りをする可愛いお嬢様の声。
その正面で、一人足を組み頬杖をついた男。湊の姿があった。
ベットの上でジッと見下ろす。
見えないはずにも拘らず、キョロキョロと辺りを見渡す愛らしい花。
湊は思わず目を細めた。
”身動きが取れない花が心細そうに自分の名前を呼んでいる。”
その状況に笑みが零れてしまったようだ。
「───お嬢、」
ビクリと肩を揺らした花。
少しだけホッとしたように名前を呼んだ。
「湊…、」
「ここだ」
明るくなる花の顔。
立てないのか、立ち膝で進みだす。
「み、なと…?」
ベットの前。
湊の丁度真下。
触れる手にビクリとした花。
湊はそれにフッと笑って、
「当たり」
そう言った。
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