天然お嬢と双子の番犬さん
キレてる。
…湊が本気で怒ってる。
「ッ、左の頬と…右、手の平…」
「そんだけされて、嫌がらなかったのか?」
手首…痛い。
見えないのも怖い。
「突然…だったから」
それに───…。
「パパと留華も…してたから、挨拶なのかなって、思って…」
昔から良くされてたから。
そうなんだと思ってた。
…っ!!
頬を掴まれた。
「不知火の名前を出すな」
さっきよりも強い殺気が目の前に。
感じた事の無い恐怖だった。
み、なと…の殺気なの?
───これが?
掴む手が離れ、手首に移動した。
押し付けられていた右手首を掴まれる。
チュッ、リップ音がした。
「ひゃっ!?」
手の平に生暖かい感触。
───舐められている。