天然お嬢と双子の番犬さん
───指が離れた。
ケホッと小さく出た咳。
伝い流れた唾液は、顎下から首筋へと道を作る。
「あっ、!」
唾液の痕。
首から顎にかけて。
なぞる、暖かい感触。
時々なるリップ音でそれが分かった。湊の舌がなぞっているのだと。
頭上で抑えつけられている手首は、どれだけ力を入れても抜け出せない。
片手。湊の利き手じゃない、左手。両手の方が有利なはずなのに勝てない。
「…湊、もう離し、」
浴衣の裾に小さな風が通る。
太ももに軽く触れた、手の平。
───…ゾクッ、
「湊!!」
起き上がろうとした私の身体は、一瞬だけ浮いて元の体制に戻った。
湊に抑えられたからだ。
内ももに移動する感触が、また身体を跳ねらせた。