天然お嬢と双子の番犬さん



「湊!やだ!やめ、」



くすぐったい、とは別のような感じだった。



「黙ってろ」



ビクッ、
近くで声がした。



「…ッ、や、だ!」



言いなりになってたまるか。そんな気持ちで声を上げる。


フッと笑い声がした後で。
右目だけに明かりが入った。

半分だけ目隠しを上げられたのだ。




「ッ…、」




…近い。
鼻頭同士がぶつかる距離。



「嫌だ?何でもするって話だったよな?」



不敵に笑う湊。


だけど、そんな台詞は私に一切入ってこなかった。




…っ、近い。




近過ぎて。
唇が触れそう。




「は…離して…」




心臓が、鼓動が。
破裂しそうだ。




「……そんな顔で言うな、クソッ」




軽く持ち上げたのは裾から出た左脚。


驚く間も与えないまま──…、




「ひ、あ…!?」




ふくらはぎにキスされた。






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