天然お嬢と双子の番犬さん
なっ…なに…?
突然過ぎて、うるさいドキドキが止まった。
「みなっ…」
ぐんっと近付いた顔。湊の肩に乗ったままの左脚が胸の方まで押された。
解かれていたネクタイから、チラ見する胸元。長いまつ毛の奥にある黒い大きな瞳。
瞳の奥に映る自分の姿に目を覆いたくなった。
ゆっくりと瞬きをした後。
視線を私に向けたまま、脚にキスを落とす。
───…っ、
「ま、待って。待って!」
私の言葉に湊が止まった。
唇をふくらはぎに付けたまま。
視線だけを向けて──。
きゅっとなる胸の中。
煩い音がまた鳴りやまない。
吐息が漏れる。
艶っぽい仕草が更に鼓動を早くする。
「───お嬢?」
湊を睨んだ。自然と出てきた涙を浮かべながら。
「…ドキドキするの、嫌だよ、」
破裂しそうで怖いから…。