天然お嬢と双子の番犬さん
先生が入ってくると、鞠は自分の席に戻っていった。
転校生二人組は、このクラスに仲間入りするよう手配したってパパに昨日聞いた。
先生の合図と共に、二人歩いて入ってくる。
黄色い声と真っ赤な顔の女生徒。
担任の先生(女)も随分と顔が赤い。
「東雲 和です」
「…東雲 湊」
笑顔の和と不機嫌湊の登場だ。
声を出すと同時に盛大な歓声。
多分廊下にも響いてるはず。
体をくねらせる先生が、二人を何度も見ながら話しをする。
「そ、それじゃあ、席は───、」
言い終わる前、二人は真っ直ぐ私の方へ。
…なんでこっち来るの?
ここら辺空いてないよ?
隣には男子生徒、その後ろには女子生徒が座っていた。
来て早々、「席変われ」と言った。
こんないい席、そう簡単に明け渡す訳ないでしょ。って思ってたんだけど。
二人の生徒は顔を赤く染め頷き、速やかに空いていた席へ移動した。
…えー、いいんだ。
私なら嫌だけどなぁ。
私の隣が和で後ろに湊。
湊の隣は元々席がないから、完全な一人席。
…この配置は多分寝る為のやつだろうなぁ。