天然お嬢と双子の番犬さん
「東雲弟の指を噛んだ。
東雲兄の所へ行かなかった。
あいつ等を拒絶した、お嬢が。
───受け入れられるとでも思った?」
ヒュッ、
喉の奥で音が鳴った。
締め付けられるような感覚や苦しさに、動機が早くなる。
耳を塞ぎ、その場に座り込んだ。
湊の指沢山血が出てた。
…私が噛んだから。
首筋を摩る。
まだ覚えている。
あの鉄の味を。
和が手を広げてくれた時だってそう。
怖いと…思ってしまった。
私が…自分自身で、
全てやってしまった事───、
拒絶した。
守れなかった。
二人から逃げてしまった。
そんな私を…和と湊が受け入れてくれるの?