天然お嬢と双子の番犬さん
「…パパに言われて仕方なくだったん、だよね?…組長の命令だから、」
パパは五十嵐組、組長。
全国トップの極道の組長。
和と湊はその部下で。若頭で。
パパに言われたら嫌な事でもやらなきゃいけないから──…。
「本当は───、
一緒に…いたくなかったんだよね?」
どうしよう…涙が零れそう。
「違う…違うよ、お嬢。僕達はそんな事思ってない」
和に手首を掴まれた。湊は顔を歪めながら、私の腕を掴む。
…嘘、つかなくてもいいのに。
「ううん…いいの。ずっと嫌な思いさせて、ごめんね」
そう、私が原因。和と湊の事、全部分かったふり・・だったから。そのせいで二人をずっと傷付けてた。
「でも安心して?…パパには、二人がとか言わないで話を───、」
両肩を突然掴まれた。
「違うって言ってるだろ!?」
和の大きな言葉に身体がビクリとした。