天然お嬢と双子の番犬さん
あ、と…?
「嗚呼、勝手に触らせたのも許せないな…言葉を交わしたのも、」
「う゛…!」
ズキン、ズキッ…!
継続的に来る痛みに思わず目を瞑った。
「俺を選んだんだ。ちゃんと俺だけ見ていないと駄目だろう?」
近付いた顔。だけど私は留華を見ることが出来ない。痛くてそれどころじゃなかったから。
「痛そうだね。でも辞めてあげない。言っただろう?俺は聞けない犬だって。
俺を見てお嬢。
俺の目を見て?」
ッ…、
ゆっくり、視線を向けた。
ニコッと笑う留華がいる。
「東雲兄弟と言葉を交わす事、触らせる事も禁止」
っ…和と、湊と。
「これは約束じゃない。
───命令だ」
空気がピリつき、痛みよりも恐怖が勝った。留華の殺気が怖いと感じているんだ。
留華の指が首筋をなぞり、顎の下へ。それは次第に唇へと移動する。
「守れるね?」
ズキズキとする腕と乾く喉。
身体に風が通る音がする。
…こくん。
言葉が出ず、私は小さく頷いた。
それを見た留華は殺気を抑える。