天然お嬢と双子の番犬さん
顔が近付き、鼻頭が当たる位置で止まった。
暗い影が私の身体を包んでいるように見える。
親指が唇の縁をなぞる。
「もう俺以外考える必要は無い。俺だけ考えて。俺以外見ないで、触らないで、触れさせないで、話さないで」
優しい声だった。
───この言葉は。
「っ…!」
頬を掴まれ顔が上がった。
瞬きしない留華は私を凝視していた。
「今言った事…全部出来ないなら、お嬢を閉じ込めないといけないなぁ」
閉じ込め…る?
「そうすれば俺しか見れない。俺だけしか頼れない。俺だけがお嬢の視界に入れる…嗚呼、それがいい。俺だけの、俺の物になる。誰にもやらない。やりたくない。一生、俺のだけのお嬢に──…。
───自由なんて必要ないよな。
俺がいれば、何もいらないだろう?」