天然お嬢と双子の番犬さん



っ…、


口は閉じ、視線も逸らしたままの状態。胸の前で手を組んだ。触れないようにする為に。



「どうして僕を見ないの?話さないの?あんなに恰好良いって言ってくれたよね?好きって僕に言ってたよね?」



頬を掴まれ上げられた。その瞬間、私はぎゅっと目を瞑る。

見ず、話さずの私に和が大きな舌打ちをした。



「もしかして不知火さんに何か言われた?見るな、話すな、触るなって?」



ビクッ、

思わず反応した身体。



「へぇ…、僕達との”約束”は守らないのに、不知火さんとの”約束”は守るんだ」



首を振りたかった。
…だけど出来なかった。

和の手に掴まれているから。



「そんなに不知火さんの方が大事?僕よりも?

ねぇ…何か言って?
僕を見てよ…、」



っ、やまと。
違うよ。違う。


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