天然お嬢と双子の番犬さん


「そうやって不知火さんが来るまで黙り続けるつもり?僕の事を一度も見ないで、そのままの状態でいるつもり?」



…30分。

何処から数えてなのか全く知らない。
でもそれを聞けば留華は戻ってくる。



”自由なんて必要ないよな”



唇を噛み、強く目を瞑った。




「分かったよ。お嬢」




頬に会った手が無くなった。


…っ、和。



薄く、目を開けた。


きっと…私のせいでまた悲しい顔をして───、




「っっ、!?」




私が見た時、和はネクタイを外している途中だった。


そして視界が消えた。
真っ暗で何も見えない。



っ、これって。



「見ないって言うなら見えなくしてあげる。これでいい?」



和のネクタイだ。



「あー、それとこっちも必要だよね?」



組んでいた両手首に何かが巻かれた。



「シルク製のハンカチだから痛くないよね?ならもっと強く縛るね?」

「ッ───、‼」





< 399 / 534 >

この作品をシェア

pagetop