天然お嬢と双子の番犬さん
「…お嬢、これどうしたの?」
これ?なんだろ?
下を向くと、右ひざに小さな傷があった。自分でも何処で出来たのか分からないぐらいの小さいやつ。
何処で怪我したんだっけ?
……あっ、そう言えば。
「車に乗せられる前に、少しだけ掠ったかな?」
今は痛くないけど。当たった時は少しだけ痛かったかな。忘れてたけど。
二人の顔色が段々と黒くなっていく。
「ほう…、」
煙草を落とし、踏み潰す。
「俺等の、五十嵐組のお嬢に怪我を…なぁ?」
首を回す度に関節が外れるんじゃないかと思うぐらいの音が鳴る。
「余程死を急ぎてぇみてぇだな」
「殺すか。どうせ表には出ない」
二人はニヤリと笑った。