天然お嬢と双子の番犬さん


────ガリッ、




「ッ…‼」




痛みの少ない嚙み方も。
たまに痛い噛みつき方も。


全部一緒。
さっきと全部一緒だった。


ただそれが、今回は太ももってだけ。



「こんな時でも声出さないの?

それぐらい不知火さんは特別で。
僕は特別じゃないって事?」



下の方から声がしたと思ったら、また別の位置に痛み。今度は痛みが強い。さっきよりも強く噛まれた。



「あっ…!」


「お嬢は嘘つきだね。やっぱり僕に不満があるからそんな態度なんだよね?

何?僕の何が不満?
言ってみてよ。


────…言うまでやり続けるから、」




っっ…、




「写真‼‼」




大きい声が出た。
自分でも吃驚するぐらい大きな声。


和の動きが止まるのを感じる。



「……写真?なんの?」



間を開けて言った言葉。



これは不満なんかじゃない。
ただモヤモヤしてるだけの事。



「っ、二人…和と湊が、綺麗な女の人と…一緒に、いる写真…」



だけど出てしまった。
声に…出してしまった。



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