天然お嬢と双子の番犬さん
四章
連休らしく
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竜二は広い部屋に一人、葉巻を咥えていた。ぼうっと先を見つめている。
「灰、落ちるよ。親父」
気配がなく、突然話しかけたのは不知火留華。
竜二はそれに驚くことなく、灰皿に灰を落とす仕草をした。
「言ったとおりだっただろう?」
すぅっと吐き出した煙。
竜二は留華の問いに答えず、懐から何かを取り出す。
シルバーのネックレス。
花が付けていたはずの物だった。
「見覚えがあるな?」
「…さあ?どうだったかな」
聞こえるほど大きな舌打ち。
竜二の額に血管が浮き出ている。
「テメェ以外に誰がいる?花を監視して自分の物にでもするつもりだったか?
花にこんなもん持たせやがって‼」
バリッ、
長方形部分が折れた。その断面見えるのは、切れた配線のような物。
「愚門だな。
俺はお嬢の為を思ってやったんだ。
この間のような事が起きてもすぐに駆け付けられるように…それに監視するつもりなら盗聴器の方を渡すはずだろう?」
怯む事無く淡々と答える留華。