天然お嬢と双子の番犬さん

だけど…自分で何とかしないと。



「痛…‼」



…そんな。


立ち上がるのも痛くなってきただなんて。



どうして、こんな事ばっかり。
────迷惑ばっかり。


それでも…、



「頑張れ私…!」



一人でも出来るって見せつけてやるんだ。



なんて────、出来るわけないのに。



足を怪我して、痛くて立てなくて。
そんな状態で出来るわけなんてない。



「ッ…留華の言う通りだ…」



私は悪い子だから。
いい子じゃなかったから。


罰が当たったんだ。




────ガサッ、




葉っぱを踏む音がした。

山に入る時に見た看板は『熊注意』。
鞠に貰った鈴は熊防止。


考えたくない。だけど…考えてしまう。もしかして、と。


鈴…は何処に行っただっけ…?


何処にもない。
付けていたはずなのに。


あの時…落としたの?



踏む音が近付いてくる。



どうしよう…どうすれば…。



あっ、と思った時には遅かった。

その音は確かに人間じゃなくて動物で。



「……小熊?」



小さな熊だったから。



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