天然お嬢と双子の番犬さん



赤ちゃんかな…?

恐れることなく私に近付いてくる。


本当に出るんだね。ここ。
でもどう注意すればいいのかな。



────…あれ、でも



小熊がいるって事は、近くには…大人の熊がいるって事だよね?




ガサッ!!



さっきよりも大きく揺れた草の音。
葉っぱを踏む音も大きく激しい。


顔が真っ青になっていくのを感じた。



小熊は何かに気付いて何処かへ足早に逃げていく。


わ、わたしも逃げないと。
でもどうやって…?



「ッ…、助けて、」



名前を出すなんて間違ってる。

自分から手を離したのに。
自分から距離を取ったのに。




「────…和、湊」




…でも信じてた。



「「お嬢!!!」」



二人なら。
和と湊なら。



息を切らした声が、大好きな二人の声がした。

顔を上げると同時に涙が零れた。



「「おじょ…、」」



二人が傍によると同時に抱き着いた。


────でも大丈夫。

どれだけ勢いよく飛びついても、突然の飛びつきも…絶対、必ず、受け止めてくれるって知ってるから。



ずっと知っていた、信じていた。


和と湊、二人なら────、

”どこに居ても見つけてくれる”って、
私はずっと前から分かっていたんだ。


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