天然お嬢と双子の番犬さん
どれぐらい経ったか、分からなくなった。ただ自分でも吃驚するほど真剣に見ていたと思う。
「……和と湊の方がイケメンだもん…」
小説の中に出て来た学校一のイケメンさん。
そんな人に何故かムッとし、声が出たのが数分前。
幼馴染二人の恋模様。
イケメンさんに恋する幼馴染の女の子。
そんな恋愛を私は時間も忘れて見入っていたみたい。
顔を見るとドキドキする。
傍にいるだけで幸せな気持ちになる。
他の女の子と居る所を見てモヤモヤする。
────…あれ?
なんだか思い当たる節がある気がするのはなんでだろ?
そんな中小説内で事件勃発。
心の中で助けを求めたのは、沢山出て来る登場人物の内一人だけ。幼馴染のあのイケメンさん。
……心の中で。
私は誰を考えたっけ?
自分が危険な目に合った時。
攫われた時も、
落っこちてしまった時も、
無意識に私は────、
”こんな風に思っているの、あんたの事が好きだからだよ。馬鹿…!”
まだ結末も分からないそんな良い所。
私はスクロールせず、固まっていた。
暫くして暗くなった画面に写る自分の顔は、目が大きく見開いていた。
わたし────、
この主人公の女の子と同じ事、思ってる…?