天然お嬢と双子の番犬さん
留華に…そんな事思った記憶がない。
「は…初恋の人にはそんなの思った事なんて、」
────ドキドキはした。
だけど小説みたいに”触れられて”とか、そんなのじゃなかった。
頭を撫でてくれた時、ふとした時に感じた優しいとは違う、変な視線の時…そんな瞬間しかならなかった。
幸せ、というより…”安心していた”その方が近い。
溜息が聞こえ、直ぐに「花」と名前を呼ばれた。
思わずピシッと背筋を伸ばしてしまう。
『憧れと好きは全くの別物なのよ?』
憧れ…。
『好きの形は色々だから、あたしが一概にそうだとは言えないけど…
花が言うその初恋は”ずっと傍にいてくれたから”そう思ったんじゃないかしら』
「そう、なのかな?」
鞠はうーん…と悩む声を出した後で、
「いい事教えてあげるわ」と言った。