天然お嬢と双子の番犬さん
和は一切答えず、足を組んだ。
すらりと長い足はクラス中の女子の視線を奪う。
それは先生も同じだったみたい。
「和?先生が聞いてるよ?」
全く話さず、背もたれに寄り掛かっている。
そんな和にたまらず声を掛けたのは私。
バチッと目が合って、一瞬ドキっとしたのは秘密。
和は私の事をジッと見た後でフッと唇を緩ませた。
「花と過ごせて幸せだったよ」
全員に聞こえる声。
私を見ながら放つ言葉。
静まり返った教室で、和の声だけが聞こえてた。
「……へぁ…?」
「「「きゃああ!?」」」
間抜けな先生の声をかき消したのは女生徒の声。
「……んだよ、うるせぇな…」
眉間にしわを寄せながら起き上がったのは湊だった。
頭をぶった後、不貞腐れるように寝ていたみたい。
「そ…それじゃぁ!えっと…み、湊くんはぁ?連休!どうだったのかしら!?」
何故か湊がとばっちり。
多分半分夢の中、そんな状態の湊は。
「………花の傍にいた」
なんて言って大きく欠伸をした。
確かに一緒にいたし。
二人と居れて幸せだったよ。
…色々あったけど!でもそれもいい思いでの一つになりそう!
二人の答えに、先生は何故か悔しそうな顔をしていたらしく、女生徒は私と二人の関係を妄想し盛り上がっていたらしい。