天然お嬢と双子の番犬さん
ジュニア…?それに今”酒井”って言った?
パパの叫び声に大きく溜息を吐いた。
そして私に近付く。
「な、なんですか!」
伸びてくる黒い手袋を付けた手に警戒中。湊に更に強く抱き着いた。
離れてたまるものかっ…!
────そのはずが、
「え…?」
簡単にベリッと剥がされた。
え?…え、え?離れないように抱き着いたのに??
湊も和も何もしてない。
目は見開いていたけど。
「タイミングが合えば簡単に出来る事です」
タイミングってなんの!?
彼は「あっ」なんて声を出して、
「主語を忘れていました。重心です」
「よくわかんないし離して!!」
バタバタと暴れる私を気にも留めず、
「う、わあ!?」
担がれた。
こ、この人!背が高い…!
思えば湊とほぼ変わらない目線だった。
つまり190cmに近いって事。
地面が遠すぎて…!
怒っているパパが目に入った。
「おい!!花をぞんざいに扱うんじゃねえ!」
「仕方がないでしょう。我儘ばかりで仕事にならないのですから」