天然お嬢と双子の番犬さん
足がこんな風になってなきゃ、今頃…二人の所に行けたのに。
でもあと少し。もしかしたら、明日、明後日には歩いて良くなるかもしれない。
そしたら私は真っ先に二人の所に向かうんだ。絶対。
「…まあ、構いません。行くのならお好きにしてください」
さっきと言ってる事が違うけど…でもそう言うなら好きにさせてもらうもんね!
「私から”逃げられる”というのならの話ですが」
と、言うと立ち上がった。
逃げ???…え?それってどう言う意味?
「……それからこれは、”お願い”になりますが」
黒い手袋を引っ張る素振りをしたリヒトさん。
サングラス越しに目が合っているように見えた。
「貴女から私に触れる事だけは辞めて下さい」
私から…?
それだけ言って、私の部屋から出て行った。