天然お嬢と双子の番犬さん



午後、酒井先生の激しい運動制限はされたものの、歩く行為に許可が下りた。

「若さ故ですかね。羨ましいです」なんて言われながら。



やっぱり少し…ううん、結構酒井先生に似てた。

髪色も瞳の色も全く違うけど。綺麗な顔立ちは若い頃の酒井先生とよく似ている。

親子、なんだろうけど。
リヒトさんは酒井先生に会わなかった。



私が健診を受けてる間だけ(・・)は、ずっと席を外していた。




それ以外は私の近くにいて、ずっと監視されているような感じだった。

…私も怖くて全然動けなかったけど。




────でも今なら。



帰宅すると出て行った酒井先生と鉢合わせしない為か、中々帰ってこないリヒトさん。お陰で今は一人。



廊下に顔だけを出しキョロキョロ。
念の為上も確認。

人の気配も足音も無し…。



”次はありません”



その言葉は怖いけど。



「すぐ!すぐに戻りますから…お許しください…」



…南無南無。

そんな言葉を残しいざ出発。


さっきは一歩外に出たら見つかった。
でも今来ないって事は本当にいないんだろう。


歩いていても痛くない。
これなら行ける…!



< 490 / 534 >

この作品をシェア

pagetop