天然お嬢と双子の番犬さん
午後、酒井先生の激しい運動制限はされたものの、歩く行為に許可が下りた。
「若さ故ですかね。羨ましいです」なんて言われながら。
やっぱり少し…ううん、結構酒井先生に似てた。
髪色も瞳の色も全く違うけど。綺麗な顔立ちは若い頃の酒井先生とよく似ている。
親子、なんだろうけど。
リヒトさんは酒井先生に会わなかった。
私が健診を受けてる間だけは、ずっと席を外していた。
それ以外は私の近くにいて、ずっと監視されているような感じだった。
…私も怖くて全然動けなかったけど。
────でも今なら。
帰宅すると出て行った酒井先生と鉢合わせしない為か、中々帰ってこないリヒトさん。お陰で今は一人。
廊下に顔だけを出しキョロキョロ。
念の為上も確認。
人の気配も足音も無し…。
”次はありません”
その言葉は怖いけど。
「すぐ!すぐに戻りますから…お許しください…」
…南無南無。
そんな言葉を残しいざ出発。
さっきは一歩外に出たら見つかった。
でも今来ないって事は本当にいないんだろう。
歩いていても痛くない。
これなら行ける…!