天然お嬢と双子の番犬さん
想い想われ
………ハァ、
涼しい風が頬に当たる。
私は窓から顔を出しお休み最終日を満喫中…いや、そんな事は全然ない。
ずっと廊下で待機していたリヒトさんのせいで、全く満喫とか云々じゃない!
お陰様で、今日はずっと部屋でゴロゴロする羽目になった。
…結局、行けなかったなぁ。
二人のとこ。
パパにだって会えてない。
本当にもう会えないのだろうか?
「……会いたいなぁ」
俯きながらに呟いた声が消えていく。
その時だった。ガザガザと音がして、足音が聞こえてきて。
会いたいと、思っていた人と目が合ったのは。
「…和…湊…??」
顔を上げて吃驚。
そこには、目を見開く二人の姿。
そして、私も目をぱちぱち。
「…あ、あれ。お嬢、ここにいたんだ……?」
やあ、と気まずそうに手を挙げた和が苦笑い。その隣では目を逸らし、これまた気まずそうな湊がいる。
────目の前で自分の頬をパチーン!
それはもう痛くて痛くて…。
「…夢じゃなかったぁ~…」
「夢って何の事!?」
「何してんだ!…チッ、赤くなっただろうが」
焦る二人の手が私の頬を包んでくれた。右頬も左頬もどっちからもぬくもりを感じて、「本当に本物なんだ」そう思ったら嬉しくて仕方ない。