天然お嬢と双子の番犬さん
もう後戻りできないかも。
きっと…知られたから。
心の底から”好き”と言ってしまった。
その言葉を聞かれてしまったから。
「私…」
もう言ってしまいたいと思った。当たって砕けろなんて言うし…砕けたいとは思ってないけど。
「和と湊の事が、」
ピタッと言葉が止まった。
──────恐怖だった。
背後から出る、黒い物があまりにも禍々しくて…振り返るのを躊躇した。
「何をしているんですか」
「っっ…、」
リ、ヒト…さ。
冷たい汗が流れていく。
呼吸がしずらくて…。
「おい」
湊の声だった。
「お嬢、大丈夫だよ。僕達がいる。安心して?」
…っ、和。
ニコッと笑い、頬に手を添えられる。
「お嬢が怖がってるだろ?」
「その手を離せ。言ったはずだ。金輪際と近付くなと」
「…ああ、そうだったね。でも仕方ないだろ?偶々近くを通っただけだから」
「もう一度言う…その手を離せ」
ピリピリとした空気。