天然お嬢と双子の番犬さん
「病める時も、健やかなる時も、
富める時も、貧しき時も…、
貴女の…五十嵐花さんの傍で慈しむ事を誓わせてください」
急にそう言ったかと思えば、私の手の甲にキスを落とした。
真剣な眼差しで私を見つめる。
「ッ、テメェ何言って…!」
「…お嬢!何も言わなくていいから、」
慌てる二人の前で、私は口を開いた。
「病める時はちゃんと休んだ方がいいと思うよ…!?」
「……………は、?」
間抜けなリヒトさんの声。
そんな声、初めて聴いた。
「それに貧しき時は働いた方がいいと思う!!」
「「ブフッ!!!」」
…え。
何故か後ろで噴き出していた。
振り返ると、プルプルと震えながら、笑い声を堪えている二人の姿。
「そう…そうだよね。ブフフッ!…病める時は、病院行った方がいいよね?…フッ!」
「ま、貧しい時は…グフッ!…そうだな。働かねぇーと…金入んねーからな…ブフッ!」
え?…だってそうだよね?
凄く当たり前の事を言っていると思うけど。
「………ここまで天然とは思ってもみませんでした。ではストレートに言えばいいのですか?」
「うん?わかんないけど。いいよ?」
「……すきです」
「え?すし?」
「………変な殺意が湧きそうです」
え゛!?だって!小さい声で上手く聞き取れなかったんだもん!
後ろではお腹抱えて笑ってるし!
お陰で全然聞こえないんだよ!?