天然お嬢と双子の番犬さん
***




何処かの路地裏。


日本語じゃない、漢字ばかりが並んだ看板。
半分消えかけのネオンがチカチカとしている。



バシャッ、



雨上がりの泥水に座り込む一人の男。
息を切らし、上を向く。


不知火留華だ。


右手には拳銃を持っていた。



「お嬢…会いたい。早く、」



血の付いたシャツとボサボサの髪。
ポツポツと生えている髭。


どれもこれも、花の知らない留華の姿。



「老闆、」



黒いガウンを着る男に”ボス”と呼ばれハッとする。
少し綻ぶ顔をしてよろよろと立ち上がった。


留華は「どうだった?」と中国語で答えた。


男は吃音し、躊躇する…が、留華に急かされ意を決したように口を開く。


──────それを聞いた留華は、






ガシャンッ!!!



緑色が無くなりかけのフェンスが大きく揺れた。



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