天然お嬢と双子の番犬さん



「───────花、」



ビクッ!


突然声がして鞠と同時に身体を跳ねさせた。


気配を全く感じなかったのだ。
ゆっくりとその先に視線を向ける。




…あっ、




「丞くん?」




ニコッと笑う丞くんがいた。
白いリボンを頭に付けている。



「久しぶり」

「そうだね!」



そう言えば最近会えてなかった!



「どうして花の事、知ってるのかしら?」



ムッと顔を顰めた鞠が私の前に出る。
そんな鞠の手を握り呼びかけた。



「丞くんは同じ図書委員なんだ。それで仲良くなったの」


「そうだったの?聞いて無いわよ」


「…そういえば、言い忘れてたような、」


「言い忘れていたのよ。お馬鹿花」


「ごへんあはい…」



両頬を摘ままれ伸ばされた。鞠が自分からやった癖に、私のその顔を見て、ふふっと笑った。

その様子を見ていた丞くんは顔色一つ変えず、


「花と話したいんだけど。いいよな?」


と、言った。



「…あんた。この状況見て分からないの?あたしと花は今ラブラブ中なの。あっちに行ってくれるかしら?」


「俺は花に聞いてる。お前には聞いていない。退けてくれるか?

正直───────、糞ほど邪魔だよ。お前」



…え、?


丞くんが鞠に向けて冷たい視線を送った。
殺気の混ざったそれに鞠が身震いをする。



「っ、私の大事な友達にそんな事言わないで」

「……は、な」



鞠の前に出て丞くんに言った。

丞くんは笑って、「やっと出てきた」と口を開いた。


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