天然お嬢と双子の番犬さん
丞くんが私の手を握る。
左手。指を絡められ、強く握られている。
「最近会えなかったな。本当は会いたかったんだけど。時間が無くて」
「えっと…うん。そうみたいだね」
パパと会う頻度が落ちてきているし、そんな気がしてた。
でも、どうして私に会いたいのかまでは分からない。
「そしたら…いつの間にか別の男が花の傍にいて」
ギリッ…、
握る力が更に強くなる。
「アイツ…あの二人より強そうだね。いくら気配を消しても気が付かれる。お陰で更に花に近付きにくくなった」
「す、すむくん痛いよ…!」
「痛い?俺も痛い。毎日痛くて仕方ない。だから、花も痛がればいい。俺と同様に」
「ちょ…っと!何してるのよ!花を返して!」
鞠が丞くんの手首を掴んだ。
だけど、全然動かない。
「お前、まだいたのか?…うざいな」
「…っ、花を離して頂戴!」
どうしよう、鞠も涙目だ。
振り解きたくても上手くいかない。
…痛い。
「花…俺は花にとって、」
「離せ」
───────っ、
「湊…!」
丞くんの背後から湊が現れた。あんなにも大変だったはずが、簡単に私達を引き離す。