天然お嬢と双子の番犬さん



「え、湊はしたくないの?大丈夫か?」


「俺の台詞だろ、絶対」



真顔の問いに真顔で返事。

溜息をついた和に湊は隣で煙草の煙を吐く。




「純粋無垢代表って感じするじゃんお嬢って」


「……うるせぇな」


「あ、否定しないって事は湊も思ってたってことか」




ケラケラ笑う和に湊の眉間のしわが増えた。




──風が吹く。





夜風に揺れて緑の葉が舞い散る。



笑っていたはずの和が真顔に。
見ているのは、雲に隠れそうな満月。



< 84 / 534 >

この作品をシェア

pagetop