天然お嬢と双子の番犬さん



頭を撫でてくれたパパは、今度は和と湊の方を向く。笑顔じゃなく真顔だった。



「お前等も着替えて来い。そんなんで会いたくねぇだろ。そろそろ来るぞ」


「「了解」」


「私もワンピースとかの方いい?」


「花はいつも通りでいいよ~。可愛いから!」




みんなちゃんとスーツ着てるのに、私だけ浴衣でいいのかな。


部屋に戻りながら、前に教えてもらっていた事を思い出す。

スーツの理由はパパ曰く、「浴衣よりも動けるから。何かあってもすぐに殴れるからね」って事らしい。

だから五十嵐組は仕事の時は必ずスーツだ。



「じゃあ、お嬢」



さっきまでのラフな制服とは打って変わって、真っ黒スーツ姿の二人。ワックスで決めた髪型もばっちりだ。



「俺等は行くから、外には出んなよ」

「うん。和、湊お仕事頑張ってね」



二人に頭をポンポンされた。

パパの所に行くのを見送ってから縁側へ。一人で居たって楽しくないけど、部屋でジッとしてるよりは気晴らしになるよね。



ぐーっと背伸びをする。

視界にちらりと映るのは黒いリムジン。

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