天然お嬢と双子の番犬さん
「これ、あなたの?」
少し笑って優しく言った。
だけど返事はない。
凄く焦ってるような気がする。
もしかして間違って入ってきちゃって怖いのかな?
「心配しないで。みんな優しいから、誰も怒らないよ。あなたは何処から来たの?」
「……、…」
キョロキョロと不安そうに周りを見ている。
あれ、この子…、
顔を左右に向けるたび、耳についたそれを見つけた。イヤホンのような小さなそれを。
一度ボールを置いてから、驚かさないように小さく肩を叩いた。こっちを見た所で両手を動かす。
「はじめまして」
───手話だ。
吃驚する女の子。
直ぐに手話で返事が来る。
『手話出来るん?』
「少しだけど…でも、良かったら私の御話し相手になってくれると嬉しいな」
女の子の目がキラキラと輝いて、大きく頷いた。