天然お嬢と双子の番犬さん
春比古くんは目を細くした。
ここそんなに西日強いわけじゃないと思ったけど…。
「花は…誰にでも笑うんか?」
「え?どういう意味?」
よく笑う方だけど…。
春比古くんが指を絡めてきた。驚いて離そうと思ったけど、その前に繋がれてしまう。
「はる…!?」
「シー、静かにせな。詩歌起きてまうで」
あ゛あ!そうでした!
口を噤んで黙ると、春比古くんが笑う。
「フッ…詩歌は起きへんで」
きっとこれは、詩歌ちゃんはろう者だから。そう言う意味だと後から知った。
思いっきり引っ張られた。
体が前のめりになる。
「春比古くん?どうかしたの?」
「この顔で近付いても嫌ちゃうか」
「え?なんで?」
嫌な要素何にもないけど…。
瞬時に答えた本音の疑問に、春比古くんは目を見開いてから笑った。
「俺が言うてんのは、この傷で近付いても怖ないんかって意味やで」